児童虐待の専門職が 心理学や統計学を語るブログ

心理学や、心理学研究における統計解析の話など

心理―基礎心理系

複雑性PTSD(complex posttraumatic stress disorder:CPTSD)と児童虐待

0.複雑性PTSDの架空事例A <主訴と経過> Aは2歳以前から両親の暴力が継続していた。顔や腹を殴られたり土下座を強要されたりするなどだけでなく、真冬や真夏の戸外締め出し、食事を与えないといった複数の虐待が確認されている。 Aが6歳になり親族宅にAが…

親の自殺は子どもの自殺率に影響を与えるの?

「親が自殺していたら子どもも自殺しやすいの?」と聞かれました。 感覚的には確かにそんな気はしますし、自殺が身近に感じられたり、自殺の方法を学んでしまったりして、より自殺に至る可能性が上がってしまう、というのは一見無理のない感じがします。 ま…

性加害のアセスメント

0.性加害(性的問題行動:Problematic Sexual Behavior:PSB/Sexual Behavior Problems:SBP)の事例 主訴:実父からの身体的虐待で児童養護施設へ入所した7歳男児A。Aが施設内で、年下男児に自身の性器を触らせる、知的に遅れのある同年代女児に衣服を脱…

攻撃性と脳機能

虐待を受けている児童と接する中で、攻撃性が高い子とか、よく加害をしてしまう子に出会います。 虐待を受けているから攻撃性が高いんだ、と言われがちですが、そんな単純なものではないですし、科学的根拠を無視して言うのであればそれは偏見です。 ただ、…

虐待の脳への影響

虐待と脳発達の専門家である某先生の研究不正が話題になりました。 一部「脳に影響が出るからって子どもが保護されたけど嘘だったのか」みたいに言ってる方(児相の介入があった方なのかな)がいらっしゃいましたが、以下に示すだけでも非常に多くの先行研究…

DV(家庭内暴力・配者間暴力)の加害メカニズムや加害者特性、児童虐待との関連について

DV(家庭内暴力・配偶者間暴力)が社会問題となっていることは周知のことだと思います。 子どもの前でDVや夫婦間口論が発生すると、DV加害者や口論した夫婦から子どもに対する心理的虐待に当たるというのはご存じでしょうか。 実は昨今の児童虐待対応…

人はなぜ人を攻撃するのか―被虐待児の攻撃性について心理学的に分かっていること+α

人はどうして人を攻撃するんでしょうか。 ~~少年S君(4歳)は、父からの身体的虐待で一時保護されています。父母の口論を毎晩見続け、父から母への暴力が毎週のように発生していたのも見ていました。耐えかねた母が浮気相手の男を連れて失踪。父子生活と…

脱抑制型対人関係(交流)障害(DSM4でいう脱抑制反応性愛着障害)という児童虐待の影響

児童虐待と関りの深い、脱抑制対人関係障害(=脱抑制型対人交流障害) 2022.6.3更新 0.事例母によるネグレクトで一時保護中の4歳女児。母子家庭。夜間放置が常態化しており、母は彼氏との外出を昼夜問わず繰り返し、夜の飲食店就業も継続しており…

内的作業モデル(IWM)について分かっていること+アセスメントへの応用

内的作業モデル(IWM)は,以前のエントリーでも触れました。虐待の世界ではよく用いられる概念ですね。 定義的なものを改めて説明すると,ボウルビィが提唱した,乳幼児期の親子関係の中で形成される対人表象についてのモデルです。 私は〇〇したら~~して…

虐待を受けた子どもは脳の機能が低下する

昨今有名な話ではありますが、虐待によって子どもの脳は変形します。 https://toyokeizai.net/articles/-/189445 脳が変形するということは、本来有している脳の機能がうまく発揮できず、本来できるはずのことができなくなるなど、様々な困難が生じてしまう…

内的作業モデル―虐待により傷付いた対人表象のモデル

内的作業モデル(IWM)とは、こういう虐待対応の世界ではよく活用する概念です。ボウルビィが提唱した、乳幼児期の親子関係の中で形成される対人表象についてのモデル。 要は、私は〇〇したら~~してもらえる、××な時は~~ってなる、の積み重ねで、単純に…