児童虐待の専門職が 心理学や統計学を語るブログ

心理学や、心理学研究における統計解析の話など

心理―心理アセスメント

反応性アタッチメント障害(Reactive Attachment Disorder:RAD)という虐待の影響

0.RADの事例 母より本児の顔を枕で押さえつける,叩く,蹴るといった身体的虐待が繰り返されて一時保護,施設入所となった1歳児童,知的には普通域で発達面に問題は無し。父は,実母へのDVに加えてギャンブルでの多額の借金を作っており,DVにより疲弊…

複雑性PTSD(complex posttraumatic stress disorder:CPTSD)と児童虐待

0.複雑性PTSDの架空事例A <主訴と経過> Aは2歳以前から両親の暴力が継続していた。顔や腹を殴られたり土下座を強要されたりするなどだけでなく、真冬や真夏の戸外締め出し、食事を与えないといった複数の虐待が確認されている。 Aが6歳になり親族宅にAが…

性加害のアセスメント

0.性加害(性的問題行動:Problematic Sexual Behavior:PSB/Sexual Behavior Problems:SBP)の事例 主訴:実父からの身体的虐待で児童養護施設へ入所した7歳男児A。Aが施設内で、年下男児に自身の性器を触らせる、知的に遅れのある同年代女児に衣服を脱…

過剰適応という日本特有の虐待の影響

過剰適応(虐待による)0.事例 小学3年生。両親からの暴力で一時保護。全身痣だらけの重症であったが、本児は被害状況を具体的に語ることを拒む傾向が強かった。本児は両親の暴力について「普段は暴力をしません、口で怒るだけなんです」とかばっていた。 …

窃盗を行った児童に対する、エビデンスに基づくアセスメントとその治療

0.窃盗の事例 主訴:繰り返し窃盗により逮捕された本児(以下:A)(高1)について、その再発防止と心理的援助を目的として心理担当職員が関りを開始 家族構成:A、母、兄、内縁男性 不適応行動について:小学校時代には自室で暴れて壁に穴をあけるといっ…

過剰適応という虐待の影響

この記事の更新版はこちら ←2022/6/13更新以下は旧記事。かなり浅い内容ですが戒めとして・・。A君は小学校入学前から激しい暴力を受けて育ちました。父母共に、A君に対し、些細な言動を理由に殴る等の暴力の他に、お前は無能だなどの暴言を吐き続けていま…

描画テスト(HTP)って正しい根拠あるの? ⇒検証してみた

描画テストって、なぜか日本では(●●県の児童相談所だけ?)よく使用されていますが、そもそもこれってちゃんとした検査なんでしょうか。 個人的に描画や「私の経験」でアセスメントする(ピーーー)県の児童相談所の先輩心理司の指導に吐くほど馴染めなかっ…

人はなぜ人を攻撃するのか―被虐待児の攻撃性について心理学的に分かっていること+α

人はどうして人を攻撃するんでしょうか。 ~~少年S君(4歳)は、父からの身体的虐待で一時保護されています。父母の口論を毎晩見続け、父から母への暴力が毎週のように発生していたのも見ていました。耐えかねた母が浮気相手の男を連れて失踪。父子生活と…

脱抑制型対人関係(交流)障害(DSM4でいう脱抑制反応性愛着障害)という児童虐待の影響

児童虐待と関りの深い、脱抑制対人関係障害(=脱抑制型対人交流障害) 2022.6.3更新 0.事例母によるネグレクトで一時保護中の4歳女児。母子家庭。夜間放置が常態化しており、母は彼氏との外出を昼夜問わず繰り返し、夜の飲食店就業も継続しており…