児童虐待の専門職が 心理学や統計学を語るブログ

心理学や、心理学研究における統計解析の話など

モーメント母関数と分布の再生性

ゴリゴリ文系の自分が統計の勉強をしていて(^q^)となった概念シリーズ。

勉強のためにまとめたもの。

 

・モーメント母関数について

 

その分布の特徴を数値化する工夫として、モーメントというものがあります。

モーメントは積率ともいわれ、分布の平均値やSD、歪度や尖度を数値化するものです。

その概念を使用したモーメント母関数(積率母関数)というものがあります。母関数とは、何かを生み出す関数というニュアンスで、モーメント母関数=モーメントを生み出す関数=モーメント母関数に一定の操作を施すとモーメントが算出される、というものです。

統計学を学んでいると出てくる用語で、確率分布の性質を導くうえで便利なものです。

 

モーメント母関数を用いる際には、確率変数 X に対して,

f:id:romancingsame:20200506140807g:plain

が存在するとき、これをtの関数とみてモーメント母関数(積率母関数)と定義します。

例えば、

幾何分布

f:id:romancingsame:20200506140917g:plain

に従う確率変数Xの期待値を求めるとします。計算の便宜上、(1-p)→qとします。

幾何分布のモーメント母関数は

f:id:romancingsame:20200506140842g:plain

となります。

このモーメント母関数を利用しやすい形にするために、f:id:romancingsame:20200506140807g:plainについてM(t)をtで微分します。↓

M(r) (t)=E(Xretx)  となります。ここでt=0とおけば

M(r)(0)=E(Xr)   となります。

よってこの期待値はM(1) =1/pとなりました(途中計算省)。

 

 

・分布の再生性について

例えば、「互いに独立に正規分布に従う確率変数の和」が従う分布は常に正規分布になります。なので、正規分布は再生性をもつということになります。

確率変数X,Yが互いに独立にそれぞれ正規分布N(μ1,σ1),N(μ2,σ2)に従う場合、X+Yが従う分布のモーメント母関数は(途中計算省略)、正規分布N(μ1+μ2,σ1+σ2)のモーメント母関数になる。したがってX+Yが正規分布に従うこと、すなわち正規分布は再生性を持つということになります。