児童虐待の専門職が 心理学や統計学を語るブログ

心理学や、心理学研究における統計解析の話など

心理―児童虐待関係

複雑性PTSD(complex posttraumatic stress disorder:CPTSD)と児童虐待

0.複雑性PTSDの架空事例A <主訴と経過> Aは2歳以前から両親の暴力が継続していた。顔や腹を殴られたり土下座を強要されたりするなどだけでなく、真冬や真夏の戸外締め出し、食事を与えないといった複数の虐待が確認されている。 Aが6歳になり親族宅にAが…

攻撃性と脳機能

虐待を受けている児童と接する中で、攻撃性が高い子とか、よく加害をしてしまう子に出会います。 虐待を受けているから攻撃性が高いんだ、と言われがちですが、そんな単純なものではないですし、科学的根拠を無視して言うのであればそれは偏見です。 ただ、…

脳の容積・体積が低下(脳が委縮)したら、脳の機能に悪い影響が出るの?

虐待と脳発達関連で最近色々と話題になりましたが、あの先生の研究が現場や世の中に与えたインパクトが大きかったのは事実です。 僕もあの先生の知見を最初に見たとき、これまでのふわっと主観が強い臨床的な見方に辟易していたフラストレーションが、徐々に…

虐待の脳への影響

虐待と脳発達の専門家である某先生の研究不正が話題になりました。 一部「脳に影響が出るからって子どもが保護されたけど嘘だったのか」みたいに言ってる方(児相の介入があった方なのかな)がいらっしゃいましたが、以下に示すだけでも非常に多くの先行研究…

過剰適応という日本特有の虐待の影響

過剰適応(虐待による)0.事例 小学3年生。両親からの暴力で一時保護。全身痣だらけの重症であったが、本児は被害状況を具体的に語ることを拒む傾向が強かった。本児は両親の暴力について「普段は暴力をしません、口で怒るだけなんです」とかばっていた。 …

児童虐待による死亡事例は防げたのか?—乳児虐待死亡事例をエビデンスベースドな側面から検証を行ってみた―

児童相談所が関わった児童が死亡すると、大きくメディアで取り上げられます。 例えば最近ではありませんが、過去には2014年、生後8カ月の長男が頭などに暴行を受け死亡した事件があります(参考:千葉日報,2017)。 死亡事例が発生した際は、死亡事例に…

性的虐待順応症候群が児相界隈で無批判に受け入れられていることについて

性的虐待順応症候群(Child sexual abuse accommodation syndrome:以下CSAAS)という言葉があります。 先日弁護士さんに声を掛けられて話を聞いているうちに、どうも児相がおかしな話を展開していることを知りました。CSAASを根拠にして裁判を戦っている…

DV(家庭内暴力・配者間暴力)の加害メカニズムや加害者特性、児童虐待との関連について

DV(家庭内暴力・配偶者間暴力)が社会問題となっていることは周知のことだと思います。 子どもの前でDVや夫婦間口論が発生すると、DV加害者や口論した夫婦から子どもに対する心理的虐待に当たるというのはご存じでしょうか。 実は昨今の児童虐待対応…

過剰適応という虐待の影響

この記事の更新版はこちら ←2022/6/13更新以下は旧記事。かなり浅い内容ですが戒めとして・・。A君は小学校入学前から激しい暴力を受けて育ちました。父母共に、A君に対し、些細な言動を理由に殴る等の暴力の他に、お前は無能だなどの暴言を吐き続けていま…

人はなぜ人を攻撃するのか―被虐待児の攻撃性について心理学的に分かっていること+α

人はどうして人を攻撃するんでしょうか。 ~~少年S君(4歳)は、父からの身体的虐待で一時保護されています。父母の口論を毎晩見続け、父から母への暴力が毎週のように発生していたのも見ていました。耐えかねた母が浮気相手の男を連れて失踪。父子生活と…

脱抑制型対人関係(交流)障害(DSM4でいう脱抑制反応性愛着障害)という児童虐待の影響

児童虐待と関りの深い、脱抑制対人関係障害(=脱抑制型対人交流障害) 2022.6.3更新 0.事例母によるネグレクトで一時保護中の4歳女児。母子家庭。夜間放置が常態化しており、母は彼氏との外出を昼夜問わず繰り返し、夜の飲食店就業も継続しており…

内的作業モデル(IWM)について分かっていること+アセスメントへの応用

内的作業モデル(IWM)は,以前のエントリーでも触れました。虐待の世界ではよく用いられる概念ですね。 定義的なものを改めて説明すると,ボウルビィが提唱した,乳幼児期の親子関係の中で形成される対人表象についてのモデルです。 私は〇〇したら~~して…

虐待を受けた子どもは脳の機能が低下する

昨今有名な話ではありますが、虐待によって子どもの脳は変形します。 https://toyokeizai.net/articles/-/189445 脳が変形するということは、本来有している脳の機能がうまく発揮できず、本来できるはずのことができなくなるなど、様々な困難が生じてしまう…

児童福祉司のつらさは数値化できるか!?福祉司はつらいよモデル

児童虐待対応の仕事、いわゆるケースワーカー(CW)の仕事は日々とても辛いものがあります。 でもどうして辛いんでしょうか。 仕事の内容の激しさももちろんありますが、その他のとてもシンプルな理由に、仕事の多さ、次々と終わらない担当の受理などがあり…

児童虐待対応の効果を統計的に見てみる-サインズ・オブ・セーフティ・アプローチの有効性検証

児童虐待のニュースが複数取り上げられています。 虐待親の人格、児童相談所の対応のまずさ、色々な指摘があります。その指摘についてのコメントはここでは控えますが、大切なのは児童虐待防止のために今以上に良い方法はないかを、具体的に示していくことだ…

内的作業モデル―虐待により傷付いた対人表象のモデル

内的作業モデル(IWM)とは、こういう虐待対応の世界ではよく活用する概念です。ボウルビィが提唱した、乳幼児期の親子関係の中で形成される対人表象についてのモデル。 要は、私は〇〇したら~~してもらえる、××な時は~~ってなる、の積み重ねで、単純に…