児童虐待の専門職が 心理学や統計学を語るブログ

心理学や、心理学研究における統計解析の話など

心理―児童虐待関係

DV(家庭内暴力・配者間暴力)の加害メカニズムや加害者特性、児童虐待との関連について

DV(家庭内暴力・配偶者間暴力)が社会問題となっていることは周知のことだと思います。 子どもの前でDVや夫婦間口論が発生すると、DV加害者や口論した夫婦から子どもに対する心理的虐待に当たるというのはご存じでしょうか。 実は昨今の児童虐待対応…

過剰適応という虐待の影響

A君は小学校入学前から激しい暴力を受けて育ちました。父母共に、A君に対し、些細な言動を理由に殴る等の暴力の他に、お前は無能だなどの暴言を吐き続けていました。また母は、A君のクラスメイトに対し、あの子はバカだから関わるな、あの子は無能だから…

人はなぜ人を攻撃するのか―被虐待児の攻撃性について心理学的に分かっていること+α

人はどうして人を攻撃するんでしょうか。 ~~少年S君(4歳)は、父からの身体的虐待で一時保護されています。父母の口論を毎晩見続け、父から母への暴力が毎週のように発生していたのも見ていました。耐えかねた母が浮気相手の男を連れて失踪。父子生活と…

脱抑制対人関係障害(脱抑制型対人交流障害)という児童虐待の影響

児童虐待と関りの深い、脱抑制対人関係障害(=脱抑制型対人交流障害)。 英語表記はdisinhibited social engagement disorder(DSED)です。 この障害、一時保護所なんかでは“誰にでも愛想がいい”という特徴のために「愛着に問題あるね~」なんて言われがちだっ…

内的作業モデル(IWM)について分かっていること+アセスメントへの応用

内的作業モデル(IWM)は,以前のエントリーでも触れました。虐待の世界ではよく用いられる概念ですね。 定義的なものを改めて説明すると,ボウルビィが提唱した,乳幼児期の親子関係の中で形成される対人表象についてのモデルです。 私は〇〇したら~~して…

虐待を受けた子どもは脳の機能が低下する

昨今有名な話ではありますが、虐待によって子どもの脳は変形します。 https://toyokeizai.net/articles/-/189445 脳が変形するということは、本来有している脳の機能がうまく発揮できず、本来できるはずのことができなくなるなど、様々な困難が生じてしまう…

児童福祉司のつらさは数値化できるか!?福祉司はつらいよモデル

児童虐待対応の仕事、いわゆるケースワーカー(CW)の仕事は日々とても辛いものがあります。 でもどうして辛いんでしょうか。 仕事の内容の激しさももちろんありますが、その他のとてもシンプルな理由に、仕事の多さ、次々と終わらない担当の受理などがあり…

児童虐待対応の効果を統計的に見てみる-サインズ・オブ・セーフティ・アプローチの有効性検証

児童虐待のニュースが複数取り上げられています。 虐待親の人格、児童相談所の対応のまずさ、色々な指摘があります。その指摘についてのコメントはここでは控えますが、大切なのは児童虐待防止のために今以上に良い方法はないかを、具体的に示していくことだ…

被虐待児ーASD(自閉症スペクトラム)疑い児童の心理アセスメント:架空事例8歳女児

前回の事例がちょっとストーリーに寄りすぎていたので、今回は客観性を保った事例検討に努めてみたいです。 ・Aちゃん8歳 Aちゃんは父母より、本児が言うことを聞かないという理由で通院となった。 Aちゃんの幼少期は、ただひたすら放任主義の家に育って…

内的作業モデル―虐待により傷付いた対人表象のモデル

内的作業モデル(IWM)とは、こういう虐待対応の世界ではよく活用する概念です。ボウルビィが提唱した、乳幼児期の親子関係の中で形成される対人表象についてのモデル。 要は、私は〇〇したら~~してもらえる、××な時は~~ってなる、の積み重ねで、単純に…

被虐待児ー非行少年の心理アセスメント:架空事例14歳男児

児童虐待の心理アセスメントって簡単じゃないことが多いですが 児童虐待に特化したアセスメント事例集とかってあまり見ない気がします。 被虐待児の対応やケアは高い専門性を要するとか言われますが、それはやはり特殊な環境下に育ち、健全な認知が歪められ…